大人の時間割

日々是好日

未来予測と問題解決と深い思考

 理系の素養が必要だと最近、アメリカでは言われている。いわゆるSTEMブームである。STEMを学ぶメリットはいくつかある。一つは理系の素養ができることで、物事を順序立てて考えたり、様々な角度からみる思考が身につくことだ。これは言い換えれば問題解決思考や損得等合理的思考が身につくことを意味する。また、理系の素養があると技術的な事も理解しやすくなる。そうすると新しいことを自分で生み出したり出来る。加えて技術を理解しておくと、未来も予測しやすくなる。技術がもたらす未来をイメージできるからだ。

 それ以外にも最近、日本では教養がブームだ。教養とは一言では言い表すのが難しいが、個人的には広い意味での「学問」だ。色々な知識がある人は教養があると、ある意味では言える。教養があると、物事に対する洞察が深くなる。例えば、万里の長城を見てへ~と思うだけの人と、万里の長城は北方民族の侵入を防ぐためのものだった、という知識を持つ人とでは建築物の見方も違ってくるだろう。よく考えが浅い、と言われる人がいるが、そういう人は教養があると深くなると思う。また、常識を鵜呑みにしがちな人は、日頃から常識を疑う素養を養った方がいい。それには、哲学がぴったりだ。哲学はプラトンニーチェ等の古典哲学でもいいし、サンデル等の現代の哲学を学ぶのでもいい。大事なのは哲学者がどういう論理展開で思考を展開しているのか、ということと、物事を疑って考える、あるいは物事の本質をどのように捉えるかという、思考のプロセスを学ぶことだ。哲学を学んでいるとそれがしやすくなるように思う。また、書くことも思考を深める上では効果的だと思う。書くことは、脳のワーキングメモリを解放するので、それだけ自分の思考を客観的に見やすくなる。頭の中でぐるぐると考える事が多い人は定期的に文章で吐き出したほうが物事を客観的に見れるので、その分深い洞察が得られるだろう。

 但し、今の日本はこれとは逆の流れである。現役世代で月に1回でも読書をする人の割合はかなり低くなっているし、そもそもスマホSNS、動画配信などの娯楽が増えているためか長い文章を読む人自体が減っている。そのため、上記の事が少しでも出来る人はそれだけで、周りと差別化できていることにつながると思う。